労働法関連」カテゴリーアーカイブ

労働基準法と、それに関連する労働法令関係についての案内等をお知らせします。

今年も地域別最低賃金が改定されました【2024年の最低賃金引上げについて】

2024年10月1日より順次各都道府県で最低賃金額の改定が行われました。

最低賃金額の全国加重平均時給額は、前年から51円平均の引き上げとなる1,055円となりました。引き上げ幅(率)は5.1%で、全国的に大きく引き上げされたとみられております。

なお、加重平均とは、数値の持つ重み(偏り・バランス)を考慮して平均値を出す方法で、最低賃金額改定の加重平均額については、各地域の賃上げ額を賃上げの影響を受ける労働者数の重みを平均算出の計算に反映させ、各都道府県当たりの総合の平均値を算出する方法によって出されたものになります。

ちなみに、この方法は、データの数を単純にすべて足してから単純に総数で割る、いわゆる一般的な平均の求め方では平均値が著しく偏ってしまうような場合に、この算出方法が用いられることがあります。

 

さて、今般2024年10月の最低賃金額改定によると、全国1位の東京都の最低賃金額1,163円(目安どおり50円アップ)で、47位の秋田県の最低賃金額951円(4円上乗せして54円アップ)となりました。今回の改定で、全国すべての都道府県で、最低賃金額が950円を上回りました。

昨今の物価高や原材料費・エネルギー費高騰が続いており、労働者側の要求を見ると、今年の引き上げ額でも足りないという意見もありますが、急激な賃金上昇は使用者側でカバーしきれない範疇でもあり、難しい一面もありますので、これからの経済状況等を見ながら注意していく必要があります。

 

また、それとは別に、地域別最低賃金の地域別であるということ自体についてそもそも論が議論されるようにもなり、いわゆる徳島ショックのような大幅加算や、逆に、場合によっては国の目安額を下回る(周囲の自治体との均衡をはかる)ということも、来年令和7年度改定には有り得るのかもしれません。

(さきの衆議院議員総選挙では、最低賃金引上げについても公約や議題にあがっていました。)

※「徳島ショック」とは、徳島県の令和6年度の答申においてギリギリまで協議が行われ、国の目安額の50円を上回り、かつ、大幅に34円も上乗せした、84円アップ(9.4%引き上げ)の改定が行われた状況のことをいいます。

 

これを機会に、ぜひ厚生労働省の最低賃金案内ページを確認してみましょう。

 

厚生労働省・必ずチェック最低賃金サイト

https://saiteichingin.mhlw.go.jp/

 

最低賃金特設ページ

https://saiteichingin.mhlw.go.jp/chingin/

 

あなたの賃金を比較チェック

https://saiteichingin.mhlw.go.jp/check/analyze.php

 

当事務所では、最低賃金や従業員の賃金改定などに関するご相談を承っておりますので、賃上げなどについてご不明な点のある事業主の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

令和6年度の最低賃金引上げの協議が始まりました

先日、厚生労働省は中央最低賃金審議会を開き、令和6年度(2024年度)の最低賃金引上げ額の「目安」についての協議をはじめました。中央最低賃金審議会は、厚生労働省の諮問機関であり、公益者代表(弁護士などの中立者)・労働者代表・使用者代表(事業主などの雇用主側の代表)の委員により構成されています。昨今の円安・物価高・エネルギー費高騰・人材不足などにより、低所得者層や非正規労働者層から生活費の逼迫が叫ばれており、賃上げの要求はより高まっています。とくにここ数年で見ると、毎年数十円単位での引上げが続いており、最大の引き上げとなった昨年(令和5年度・2023年最低賃金引上げ)を上回るかが焦点になっています。

 

最低賃金の推移(地域別最低賃金の全国一覧(過去5年分))

https://pc.saiteichingin.info/table/page_list_past.html

令和5年の最低賃金(地域別最低賃金全国一覧)

https://pc.saiteichingin.info/table/page_list_nationallist.php

 

そこで、厚生労働省と中小企業庁では、最低賃金引上げへの対策として各種助成金・補助金による支援事業の強化を行っています。全国的なワンストップサービスの相談窓口の設置も行われており、各種助成金の利用促進にあたり相談事業を行っています。最低賃金引上げに対応する各種助成金・補助金については、①業務改善助成金(厚生労働省)・②キャリアアップ助成金(厚生労働省)・③ものづくり補助金(中小企業庁)・④IT導入補助金(中小企業庁)を前面に押し出しています。

各種助成金・補助金の案内ページのリンクを下記に示しますので、ご参照ください。

 

①業務改善助成金

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

 

②キャリアアップ助成金

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

 

③ものづくり補助金

https://portal.monodukuri-hojo.jp/

 

④IT導入補助金(2024)

https://it-shien.smrj.go.jp/

 

当事務所においても、賃上げ対策のついてのご相談を承っておりますので、ご不安な点のある事業主の方は、お問い合わせフォーム等によりお気軽にお問い合わせくださいませ。

令和6年度の【雇用保険料率】・【労災保険率】について

厚生労働省より、令和6年度の雇用保険料率、労災保険率が公表されております。

 

雇用保険料率は、令和5年度と同率で変更はなしとのことです。

 

【令和6年4月1日~令和7年3月31日までの雇用保険料率】

・一般の事業………15.5/1000(うち労働者負担6/1000・事業主負担9.5/1000)

・農林水産業等……17.5/1000(うち労働者負担7/1000・事業主負担10.5/1000)

・建設業……………18.5/1000(うち労働者負担7/1000・事業主負担11.5/1000)

 

過去の雇用保険料率は以下のリンクをご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html

 

労災保険率は、変更されますのでご注意ください。(令和6年度{令和6年4月1日}から変更になります)

労働保険の年度更新申告は、労災保険部分については、令和5年度の確定保険料は今までの料率で、令和6年度の概算保険料は変更後の新しい料率での申告を行う必要があります。

あらためて、新しい労災保険率のご確認と、労働保険の年度更新の申告書のご確認、ご注意をお願い致します。

詳細は以下のリンクをご確認ください。

 

令和6年度の労災保険率について(令和6年度から変更されます)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/rousaihoken06/rousai_hokenritsu_kaitei.html

 

労災保険率表(令和6年4月1日より)

https://www.mhlw.go.jp/content/rousaihokenritu_r05.pdf

 

労災保険の料率が変わります(事業主様用リーフレット)

https://www.mhlw.go.jp/content/leaflet_r06.pdf

 

雇用保険料率および労災保険率は、保険料の徴収や支払いに直結する重要な事項ですので、よくご確認の上、ご対応ください。

 

当事務所では、各種ご相談を承っておりますので、ご不明な点がございましたら、お問い合わせフォーム等によりお気軽にお問い合わせくださいませ。

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最低賃金引上げに対する対策のガイダンス資料について

物価高騰や社会情勢などの影響により、賃上げの要求が叫ばれています。また、実際に最低賃金の引上げが年々続いています。コロナ禍の真っただ中の緊急事態状態の令和2年度の引き上げは据え置きや1~3円程度の引上げにとどまりましたが、とくにここ数年で見ると、数十円単位での引上げが続いて行われており、中小企業にとっては毎年の課題となっております。(最低賃金額の地域別の変遷は以下のリンクをご確認ください。)

 

最低賃金の推移(地域別最低賃金の全国一覧(過去5年分))

https://pc.saiteichingin.info/table/page_list_past.html

 

令和5年の最低賃金(地域別最低賃金全国一覧)

https://pc.saiteichingin.info/table/page_list_nationallist.php

 

そこで、厚生労働省では、最低賃金引上げへの対策として支援事業が行われることになりました。支援事業の内容としては、全国的なワンストップサービスの相談窓口の設置や、各種助成金の利用を積極的に促しております。

案内サイトのリンクを下記に示しますので、ご参照ください。

 

最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/index.html

 

最低賃金・賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援施策

https://www.mhlw.go.jp/content/001246868.pdf

※内容の要素が26項目と多岐にわたるため、参照先が多く複雑に感じるかと思います。個々の内容について不明な点がございましたらお尋ねくださいませ。

 

最低賃金の引上げは毎年の問題でありますが、昨今の賃上げのムーブメントは大きなうねりとなって各方面に影響を及ぼしています。それにより、自治体の長が賃上げ推進についての労働局への申し入れをしたというニュースも聞こえてきております。

 

当事務所においても、賃上げ対策のついてのご相談を承っておりますので、ご不安な点のある事業主の方は、お問い合わせフォーム等によりお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

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パート労働者の雇用保険の加入(資格取得)手続きはちゃんとされていますか?

意外と見落としがちなパート・アルバイト労働者の方の雇用保険についてですが、正社員などのフルタイム社員ではなくとも、一定の要件を満たす場合、事業主や労働者本人の意思とは関係なく雇用保険の加入(資格取得)が必要になります。

 

雇用保険の加入の範囲は、次の2点に該当する場合に加入しなければなりません。

 

(1)31日以上雇用される見込みがあること。

 

(2)週の所定労働時間が20時間以上であること。

 

ただし、学生はその適用から除きます。

 

ちなみに、所定労働時間とは、働くことが決まっている時間のことです。パートの方で、例えば1日4時間の週5日勤務の取り決めの上で働く場合、4時間×5日で20時間となり、雇用保険の加入条件に該当します。

 

雇用保険に加入し資格取得していることで、失業保険の対象になることができます。仮に労働者の退職した後のことを考えると、加入要件をしっかりと確認し、パート・アルバイト労働者の方であってもその要件を満たす場合は、加入の手続きをしましょう。手続きを怠り雇用保険の資格がなかったことであとからトラブルになる可能性もありますので、気を付けましょう。

 

厚生労働省では、雇用保険の加入手続き確認についてアナウンスをしておりますので、以下のリンクをご参照ください。

雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147331.html

 

当事務所では、雇用保険の加入・脱退などに関するご相談を承っておりますので、労務手続きについてご不明な点のある事業主の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

最低賃金額改定に伴う月収・賃金額ボーダーの目安について

2023年10月1日より順次各都道府県で最低賃金額の改定が行われました。

最低賃金額の全国加重平均時給額は、初の1,000円超えとなる1,004円となりました。

 

なお、加重平均とは、数値の持つ重み(偏り・バランス)を考慮して平均値を出す方法で、最低賃金額改定の加重平均額については、各地域の賃上げ額を賃上げの影響を受ける労働者数の重みを平均算出の計算に反映させ、各都道府県当たりの総合の平均値を算出する方法によって出されたものになります。

ちなみに、この方法は、データの数を単純にすべて足してから単純に総数で割る、いわゆる一般的な平均の求め方では平均値が著しく偏ってしまうような場合に、この算出方法が用いられることがあります。

 

さて、今般2023年10月の最低賃金額改定によると、全国1位の東京都の最低賃金額1,113円で、47位の岩手県の最低賃金額893円となりますが、この最低賃金額で週20時間ないし40時間働く場合に最低賃金額のボーダーはいくらになるか、時間給制の場合でのその目安を計算してみます。

 

月の週数を4.28週(1か月30日÷1週7日=4.285714週≒4.28週)とすると、

 

【時給制の場合】

東京都で働く場合

1,113円×週20時間×4.28週=95,272.8円

1,113円×週40時間×4.28週=190,545.6円

 

全国加重平均額で仮に働いた場合

1,004円×週20時間×4.28週=85,942.4円

1,004円×週40時間×4.28週=171,884.8円

 

岩手県で働く場合

893円×週20時間×4.28週=76,440.8円

893円×週40時間×4.28週=152,881.6円

 

以上のようになります。

これは、あくまで【時間給制の場合】でのシミュレーションですので、日給制の方や、月給制の方の最低賃金額が確保されているかの計算方法は、以下の厚生労働省ホームページ記載の情報をご覧ください。

 

最低賃金額以上かどうかを確認する方法

https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-13.htm

 

当事務所では、最低賃金や従業員の賃金改定などに関するご相談を承っておりますので、賃上げなどについてご不明な点のある事業主の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

更新日:2023年11月09日

最低賃金額改定について各地域での答申が行われました【令和5年度】

令和5年7月28日開催の中央最低賃金審議会で示された2023年度の地域別最低賃金額改定【目安】についての答申については、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円の目安となりました。

各ランクの該当都道府県は次の通りです。

ランク 都道府県
A 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
B 北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡
C 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

この目安額を受けて、各都道府県労働局における地方最低賃金審議会によって、8月18日までに最低賃金についての答申がなされました。

各地域の地方最低賃金審議会における答申の結果により、全国加重平均額は昨年度から43円引上げの1,043円となり、加重平均では1,000円を超えました。

各都道府県における、最低賃金額(予定)については、次の、「令和5年度 地域別最低賃金 答申状況」の一覧表に示す通りとなります。

 

令和5年度 地域別最低賃金 答申状況

https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001136128.pdf

 

各地域の審議会で答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定となっております。

(異議申し立ての状況等により、発効日は変更になる可能性があります。)

 

なお、北日本(北海道・東北ブロック)の最低賃金改定状況は以下の表に示す通りとなります。また、岩手県の最低賃金893円は全国最低額です。(岩手県が単独最下位です。)

 

 

道県名

 

ランク

ランク
ごとの
目安額
改定後の
最低賃金額
前年の
最低賃金額
前年からの
引き上げ額
ランクごとの

目安額との

差額

北海道 B 40 960 920 40 +0
青森 C 39 898 853 45 +6
岩手 C 39 893 854 39 +0
宮城 B 40 923 883 40 +0
秋田 C 39 897 853 44 +5
山形 C 39 900 854 46 +7
福島 B 40 900 858 42 +2

 

全体の最低賃金額の引き上げ状況については、47都道府県で、39円~47円の引上げ(引上げ額が47円は2県、46円は2県、45円は4県、44円は5県、43円は2県、42円は4県、41円は10都府県、40円は17道府県、39円は1県)でした。

 

当事務所では、最低賃金額の引き上げへの対応や、労働生産性の向上に関するご相談を承っております。また、ファイナンシャルプランニング業務も行っておりますので、企業経営・資金繰りなどでご不安のある事業主の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

更新日:2023年11月09日

雇用保険料率の変更【引き上げ】について(令和5年4月1日より)

雇用保険については、令和4年4月および10月に料率変更が行われましたが、令和5年4月からも雇用保険料率の変更(引き上げ)が行われます。

(※以下、保険料率・料率変更についての記載は、特記の無い場合は「雇用保険」について述べております。)

前述の通り、令和4年は4月と10月に料率変更が行われましたので、前年は年度の途中にも引き上げが行われたかたちでした。しかし今回は、令和5年4月1日からの1回のみの変更となります。

保険料率の適用期間は、令和5年4月1日から、令和6年3月31日までとなります。

 

肝心の保険料率変更の引き上げ幅についてですが、前回変更の令和4年10月からと比べて、労働者負担・事業主負担ともに、現在より「【1,000分の1】ずつ」引き上げ、となっております。

令和5年4月1日からの事業の種類ごとの適用保険料率の内容(詳細)につきましては、以下のリンクをご確認ください。

 

令和5年度雇用保険料率のご案内

https://www.mhlw.go.jp/content/001050206.pdf

 

雇用保険料率について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000108634.html

※令和3年度・令和4年度・令和5年度の保険料率案内リーフレット記載ページへ移動します。

 

 雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上である労働者で、31日以上の雇用見込みのある場合に、原則として適用されます。常用・パート・アルバイト等の雇用形態を問わず、前記の条件に該当する場合は被保険者となることができます。

 

当事務所では、雇用保険の加入・脱退(資格取得・資格喪失)に関するお手続き・ご相談を承っておりますので、雇用保険についてご不明な点のある事業主の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

パワハラ(パワーハラスメント)の定義と類型について

労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)の改正により、パワーハラスメントに関する規定が明確に記載され、また中小企業に対しても2022年4月からパワハラ防止対策への配慮を求められるようになりました。

さて、このパワーハラスメントですが、「それはパワハラだ!」と一方的に簡単に言えるものではなく、ちゃんと定義がありますがご存知でしょうか。パワーハラスメントについての定義は次の通りです。

職場におけるパワーハラスメントとは、職場(事業場や仕事に関する場所など)において行われる、

  1. 優越的な関係を背景に行われた言動であって、
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもので、
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

であり、この①・②・③のポイントすべてを満たすもの、とされています。

また、この①~③のポイントを全て満たしていても、客観的に見て業務上に必要かつ相当な範囲内での適切適正なレベルの指示・指導についてはパワーハラスメントには原則として該当しないとしています。

(正当かつ妥当{適正という意味での妥当}な指導はパワーハラスメントに該当しません。指導をされた従業員が、上司に「それはパワハラだ!」といっても、それが即座にパワハラに該当するものではありませんし、パワハラ防止法は適切な指導を妨げるものではありません。)

この職場におけるパワーハラスメントについて、6つの類型例(典型的な該当例)が示されています。以下の6つです。

 

(1)身体的な攻撃

暴行・傷害

(2)精神的な攻撃

脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言

(3)人間関係からの切り離し

隔離・仲間外し・無視

(4)過大な要求

業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害

(5)過小な要求

業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと

(6)個の侵害

私的なことに過度に立ち入ること

 

以上です。

ただし、これに該当しないものでもパワーハラスメントにあたるものも有り得ますので、より注意が必要になります。

 

参考ホームページ【厚生労働省より】~職場におけるハラスメントの防止のために~

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

 

まずはパワーハラスメントに該当するのかどうかを考え、トラブルを解消し適切な事業運営を行えるように全社で対策を行っていきましょう。

当事務所では、ハラスメント防止対策等に関連するご相談を承っております。従業員のトラブルなどでご不安のある事業主の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

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更新日:2023年06月02日

雇用保険料(保険料率)の改正変更(負担額増)について

雇用保険法が改定され、既に令和4年4月1日より事業主負担分の雇用保険料の変更(1000分の0.5の上昇)されておりますが、令和4年10月1日からは、事業主負担分だけではなく、労働者負担分も、ともに変更されています。

10月からの保険料率が、事業主・労働者それぞれの負担分として1000分の2の上昇(0.2%の負担増)となります。

今回の改正は、新型コロナウイルス感染症の影響のより、経済活動の停滞による事業の縮減を受け、失業されてしまう方や、失業しないまでも会社が休業するなどして雇用環境が乱れたこと、それにより失業給付や雇用調整助成金などの各種助成金が増え、雇用保険料の払出が増えたことに端を発した変更となっている模様です。雇用保険制度の継続の為には致し方無いことかと思われますし、長い目でみた場合、今後も料率変更(事業主や労働者の負担の増加)があるかもしれません。

今回、令和4年度(4月1日を年度始まりとする)においては、①雇用保険料の変更があったこと。②上半期(4月1日から9月30日)と、下半期(10月1日から翌令和5年3月31日)とで、雇用保険料の料率が違うこと。③つまるところ年度の途中(10月)から保険料率が変更になること。これらが注意ポイントです。そのため、給与計算の際は注意が必要ですし、来年の労働保険年度更新申告のときも注意が必要になるかと思われます。

詳しい保険料率については、以下リンク先の厚生労働省の「令和4年度雇用保険料率のご案内」をご参照ください。赤字の部分が変更点となっております。

令和4年度雇用保険料率のご案内

https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf

最近では、社会保険料の料率変更だけではなく、社会的に円安や原材料費の高騰、商品の値上げなど、はたらく人も経営する人も共に負担増が続いており、ものごとの一面にとらわれず、大局的に判断する力が必要な時代となってきました。この難局を乗り越える手段の一つとして、情報のアップデートも大切かもしれません。

当事務所では、雇用に関連するご相談を承っております。企業経営などでご不安のある事業主の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

更新日:2022年12月14日

令和4年度の地域別の最低賃金額改定【目安】について

令和4年8月2日に開催された中央最低賃金審議会において、2022年度の地域別最低賃金額改定の【目安】が答申されました。

本答申で示された令和4年度の最低賃金引き上げ額目安は、Aランク31円Bランク31円Cランク30円Dランク30円となりました。

※引き上げ額目安は一都三県、愛知・大阪の「Aランク」と、栃木・静岡・兵庫など11府県の「Bランク」が31円、宮城・奈良・福岡など14道県の「Cランク」と、青森・島根・沖縄など16県の「Dランク」が30円となります。都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引上げ額の目安を提示しています。どの都道府県が各ランクに該当するかは、厚生労働省ホームページの報道発表資料掲載サイト内(以下のリンクを参照)でご確認ください。

令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27195.html

目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は31円(令和3年度は28円)となり、昭和53年度に目安制度が始まって以来、最高額となる見込みがあります。また、賃金額の引上げ【率】に換算すると3.3%(令和3年度は3.1%)となっている模様です。

なお、この額はあくまでも【目安】であります。今後は、各地方での最低賃金審議会で、この中央最低賃金審議会の答申を参考にし、各地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、改めて地方審議会が答申を行い、各都道府県の労働局長が地域別(各都道府県の)最低賃金額を決定することとなります。

毎年同じような日程ではありますが、おおむね当年度の各都道府県における最低賃金額の決定は9月下旬までに、当年度の最低賃金額の施行・適用は10月1日以降に順次対応の予定です。

地域別最低賃金の全国一覧(直近で確定済の年度における最低賃金額の一覧表)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

労使双方の見解は、次のリンクに示す通りとなりますので、ご参考になれば幸いです。

(使用者側)日本商工会議所・会頭コメント

https://www.jcci.or.jp/news/2022/0802080000.html

(労働者側)連合・事務局長談話

https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1205

原材料費の高騰や輸出入コストの増大、社会情勢の影響などから値上げの続く社会状況ではありますが、中小・零細企業においては、賃金アップは非常に厳しい状態があり、経営の効率化や生産性向上、健全化が強く求められることが予想されます。

当事務所では、最低賃金額の引き上げや、労働生産性の向上に関するご相談を承っております。また、ファイナンシャルプランニング業務も行っておりますので、企業経営・資金繰りなどでご不安のある事業主の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

更新日:2022年12月14日

令和4年の労働保険年度更新申告の注意点について

令和4年6月1日から、毎年恒例の労働保険年度更新申告が始まります。年に1度の手続きの為、手続き方法や手順を間違えがちですので、去年の振り返りをしつつ丁寧に進めて頂けると良いかと思いますが、今年はより注意が必要です。

今年の注意点としては、年度途中での雇用保険料率の変更が行われることに要注意です。令和4年度の雇用保険料の概算保険料申告については、前半期(4月1日から9月30日までの分)と、後半期(10月1日から令和5年3月31日までの分)とそれぞれ別の雇用保険料率がかかりますので、気を付けましょう。

労働保険年度更新申告についての詳細は、以下のリンク先にある、<申告書の書き方について>の部分をご参考頂けると幸いです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html

令和4年度労働保険の年度更新期間は、6月1日(水)~7月11日(月)です。お早めにお手続きをお願い致します。

当事務所では、労働保険の諸手続きに関するご相談を承っておりますので、ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。

サービス一覧

更新日:2022年12月14日