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年次有給休暇取得促進期間について

厚生労働省では、年次有給休暇を取得しやすい環境整備を推進するため、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」として、活動を行っています。

年次有給休暇については、ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議で策定された「仕事と生活の調和推進のための行動指針」において、2020年(令和2年)までに、その取得率を70%とすることが目標として掲げられています。

しかしながら、厚生労働省の就労条件総合調査によると、年次有給休暇の取得率は2017年(平成29年)に51.1%と18年ぶりに5割を超えたものの、その前の27年間において2002年(平成4年)および2003年(平成5年)の56.1%をピークとして、その後低調な取得率が推移しており、また2010年(平成22年)ころから若干取得率の向上が見られるものの、依然として政府が目標とする70%には程遠い状況となっています。

このような中において、労働基準法が改正され、今年2019年4月から、使用者は、法定の年休付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日間、年休を確実に取得させることが必要となりました。(いわゆる「年次有給休暇の時期指定義務」が発生するようになったことを意味します。)

そのため、年次有給休暇の計画的付与制度を利用することも、年次有給休暇取得を遵守するために良い方法と言えます。つまり、年次有給休暇の計画的付与制度を導入することは、年次有給休暇の取得を促進するとともに、労働基準法を遵守する観点からも重要になるということです。

10月は、年末への対応に向けて徐々に忙しくなり大変ではありますが、前もって翌年(または翌年度)の年間勤務計画(会社の年間カレンダーの作成などにおける、所定労働日・所定休日ならびに計画年休の配分など)を始めるにはちょうどよい時期であるとも言えます。
年5日間の有給休暇の取得が義務となりましたので、計画的に年次有給休暇の付与を行い、円滑な業務運営を行いましょう。

ちなみに、厚生労働省では、この労働基準法の改正をきっかけとして、年次有給休暇の計画的付与制度の一層の導入が図られるよう、全国の労使団体に対する周知依頼、ポスターの掲示、インターネット広告の実施などを行い、周知広報に努めていくとのことです。

前述の働き方改革関連法改正における「年次有給休暇の時期指定義務」の内容および注意点等については、以下のページをご参照ください。

年次有給休暇の時期指定義務の開始について

年次有給休暇の時期指定義務の注意点

年次有給休暇の取得について、お困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

(※時間単位の年次有給休暇(時間単位年休)の取得分については、確実な取得が必要な5日間の日数のカウントから差し引くことはできません。また、年次有給休暇の計画的付与制度を行うためには、労使協定を結ぶ必要があります。)

【解説】
※「年次有給休暇の計画的付与制度」・・・年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結べば計画的に年次有給休暇の取得日を割り振れる制度。
(労働基準法第39条第6項)
年次有給休暇の計画的付与制度は、全従業員に対して一斉に同一の日に付与するという方式もあれば、部課・グループまたは従業員個人単位ごとに別々に付与するという方式もあります。各企業の営業実態に合わせて、業務に差支えの無いように付与するのがよいでしょう。


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更新日:2021年05月28日

年次有給休暇の時期指定義務の注意点

「年次有給休暇の時期指定義務の開始について」では、有給休暇の付与に関する義務についてご説明しました。
そこで「年次有給休暇の付与の基準日において年10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者について時期指定義務が発生」し、ほぼすべてのフルタイム勤務の正社員労働者が該当するといいましたが、ここで注意点があります。

ポイントは、フルタイム勤務の労働者についてのみ年次有給休暇の時期指定義務が発生するわけではなく、あくまでも、年10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者について、時期指定義務が発生するということです。
これはつまりどういうことかというと、条件によっては、フルタイム勤務ではないパート労働者・アルバイト労働者についても、年10日以上の年次有給休暇が付与される方であれば、有給休暇を基準日から1年間に5日を付与しなければならないということです。

年次有給休暇の付与日数の表をご覧ください。赤文字で記載されている条件の労働者は、有給休暇の付与日数が10日以上となるため、5日の時期指定義務が発生することになります。

具体的な条件を以下に記しますので、該当する場合は、フルタイム勤務ではないパート労働者・アルバイト労働者であっても注意が必要です。

〇週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満であること
かつ
〇勤続年数が3年6ヶ月以上経過し、かつ週4日(または年間169日〜216日)勤務していること、または、勤続年数が5年6ヶ月以上経過し、かつ週3日(または年間121日〜168日)勤務していること

年次有給休暇の比例付与については計算(表の見方)が少々難しいかもしれませんので、パートタイマー等の短時間勤務労働者がいて、その方が長期で勤続している場合など、注意が必要な場合があるかもしれませんので、お心当たりがあればすぐご相談ください。

(表)週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の年次有給休暇の付与日数

週所定労働日数 年間所定労働日数 勤続年数
6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上
 

付与

日数

4日 169日~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

※年間所定労働日数は、週以外の期間によって労働日数が定められている場合です。

 


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更新日:2021年05月28日

年次有給休暇の時期指定義務の開始について

年次有給休暇の取得について、会社側が時季を指定した上で付与する義務が発生します。

そもそも、労働基準法において、有給休暇は一定の要件を満たす労働者に対して付与することが規定されています。
有給休暇は、正社員や契約社員などだけではなく、パート労働者・アルバイト労働者にも付与されます。(パート労働者など所定労働日数・時間数が少ない労働者については、所定労働日数に応じた日数の有給休暇が比例付与されることになっています。)

それが、今般の働き方改革関連法の改正(法律としては労働基準法の改正)により、本年2019年4月1日から、大企業・中小企業を問わず全ての企業で、年10日以上の有給休暇が付与される労働者について、うち年5日については、1年間以内に使用者(会社)が時季を指定して有給休暇を取得させる必要性(有給休暇の取得義務)が発生することになりました。
ただし、労働者ごとに有給休暇付与の基準日から1年間以内での義務です。2019年4月1日以降に付与された日を基準としてその日から1年間に5日を付与しなければならないという意味です。

年次有給休暇の時期指定義務の対象者は、有給休暇付与の基準日において年10日以上の有給休暇が付与される全ての労働者が該当します。
これは、6ヶ月以上継続勤務するフルタイム労働者の全てが該当することになります。(欠勤の日数や休職の状況等によっては該当しない場合もあります。)最近では時間限定正社員などもありますので、所定労働時間・日数の定義は、会社によって異なる部分はありますが、従来型の通常の働き方をする正社員の方はほとんどすべてが該当することになります。

有給休暇の取得は、労働者の心身のリフレッシュや健康の維持に必要とされており、今回の法改正においてそれが考慮・反映されたかたちとなっています。
今回、働き方改革関連法改正の中でも、猶予期間もなく中小企業でも義務化が図られたことにより、皆さんの会社でも大きな影響があることが懸念されます。

有給休暇の付与や管理、また就業規則の見直しも必要になる可能性がありますので、お困りのことがございましたら、お早めに当事務所までご相談ください。

 


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更新日:2021年05月28日